前回に引き続き、ブレンドのお話。ミッチェルは、稀有な才能に恵まれた、当代随一のブレンダーです。ブレンドとは、単に複数の素材を混ぜれば良いというものではなく、その結果、心身にどのような影響を及ぼすのか、どのような可能性を実現できるのかがポイントです。また、カプセルに入れたりタブレットにするなら別ですが、パウダーの製品では、味も大事になりますね。
14.ミッチェルはブレンド・アーティスト?
彼がどのようにブレンドを決めて行くのか、それは謎に包まれているところでもあります。おおまかには、研究論文や専門家の意見を参考に、植物の種類と部位(花、葉、根など)を選び出し、その加工方法や配合比率を決めて行く、ということになると思います。
繊維質の固い植物の葉はジュースにしぼってから凍結乾燥するとか、ジュースにしぼれないほど固い根っこの場合であれば、オーガニックアルコールや水で成分を抽出してからパウダーにするとか、加工方法も様々です。植物の種類や配合を決める際、ミッチェルが大事にしているのが「色」です。色のハーモニーが美しいこと。それがブレンドの良し悪しにも通ずるのだとか。植物のパウダーは画家にとっての絵の具のようなものなのですね。
15.ミッチェルを支える優秀な技術者「ジェイ」
ミッチェルはアーティスト並のわがままさ(?)で、このブレンドにしたいとスタッフに要望します。ですが、それを実際の製品に仕上げるまでには、現場での、もの凄い努力と苦労があるようです。
シナジー社ではどんな植物でも最終的にはパウダーにします。その際、植物の種類や加工方法の違いによって、重さや水分や粘度(くっつきやすさ)などがバラバラな状態になっています。くっつきやすいものがあれば上手く混ざりません。重さの違うものをそのまま混ぜ合わせれば、時間とともに重いものが下に溜まってきて、スプーン1杯に入る植物は均一ではなくなってしまいます。
これらをすべてクリアして、どの1杯も同じようにお使い頂けるのは、ジェイという頑固なまでに誠実で、屈強な技術者である工場長がいるお蔭なんです。ジェイの指示で何度も試作を繰り返し、ミッチェルが決めたブレンドを実現させています。
ジェイは私が初めてシナジーカンパニーを訪れたころ(2001年当時)は、入社したての現場スタッフでした。それが今では、一徹なまでの誠実さ、そして誰にも負けない物作りへの情熱が買われ、COO(現場の最高責任者)を勤めています。二人の息子たちの逞しいお父さん。私たちもジェイがいる限り、品質に妥協はない、と信頼を寄せている人物です。
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