シナジーカンパニージャパン

1966年生、神奈川県生まれ聖マリアンナ医科大学卒業、昭和大学医学部大学院卒業。タニクリニック(日比谷)副院長、聖マリアンナ医科大学予防医学助手を経て、2000-2002年アリゾナ大学医学部統合医療プログラム(Program of Integrative Medicine)にAssociate Fellowとしてアジアで初めて参加・修了。その後、中伊豆温泉病院内科医長、小糸製作所静岡工場診療所所長・産業医を経て現職。現在は、富士山麓・朝霧高原において、ガスや水道の無い生活を送りつつ、朝霧高原診療所にて、地域医療と養生医療を行っている。著書「統合医療のすすめ」(医学堂出版)、「統合医療運営マニュアル」(現代企画)、「イタリアン・テルメ」(エルゼビア・ジャパン)など。

SYNERGY ESSAY シナジーエッセー 山本竜隆さん

火曜日はシナジーカンパニージャパンの医療顧問でもある山本竜隆医師のエッセー。統合医療の実践者として、漢方について、健康と治癒についてなど、興味深いテーマをお話しします。

2010年9月28日(Tue)

「養生医療」-12 自然に対する畏敬の念

現在、全世界では10万種類以上の化学物質が使用されていると言われています。EUでは規制によって今後3万種類程度に削減される見込みです。その理由はさまざまですが、化学物質の多くは脂溶性で、脳(60%が脂肪)で吸収しやすく、近年増えてきた疾患、特に脳神経や精神疾患との関連を指摘する医療従事者も少なくなく、これも一つの理由と考えられます。

また環境ホルモンに関しては、規制対象が、米国が500種、EUでは2000-4000種類に対して、日本はたった180種類程度で、大変に甘い規制といえる現状があります。食品添加物も350種類以上で世界でダントツの1位。紙など漂白したものの燃焼によるダイオキシンの発生も大変多い国家で、いずれも規制品種・濃度などからみて、ドイツの800倍の甘い基準です。公衆衛生の分野では、日本の若い世代を“世界のモルモット”として注目している人もいるありさまなのです。

このような環境の中で、従来どおりの養生はどこまで通用するのでしょうか?実際に“養生”とは「健康をまもり維持するための生活方法を指す概念」とされ、時代や地域、社会情勢により、その養生方法も変わるもの、養生とは医療現場や教育機関など限られた時間や空間のみで行うものではなく、各自の意識や生活そのものであり“実際の行動"でもあるとされています。

現在、私の自宅には水道やガスがありませんので、電気と薪、敷地内の湧水や井戸水で生活しています。東京育ちの私にとっては、全く経験の無い、想像もしていなかった日常です。しかし薪ストーブは、芯から体が温まり、心が癒され、精神衛生上も良いように感じます。自然水での飲食や入浴は、とても快適です。一方で、水を恵んでくれる山や森林、汚水が流れ出ていく先など、周囲の自然環境に関心が強くなりました。我が家には蛍が飛んできますし、鳶や鷺、さまざまな野鳥、そして鹿や野兎などが敷地内に出入りするなど、多くの動物たちと共存しているという実感があることも大きく影響しています。このような日々の生活の中で、都市部での生活では無かった自然の尊さや、感謝の念、物事のプライオリティー(優先順位)が明確になったように思います。そして毎朝、心から山々に感謝し、手を合わせせずにはいられなくなるのです。

あなたの家の水はどこから来ていますか?排水はどこに行きますか?また最先端の医療が充実した環境の優れない場所と、医療レベルは高くないが環境の素晴らしい場所、皆様はどちらで生活したいですか?

2010年9月28日(Tue)